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2026/08/19

「まだ怒らないの?」マニラ洪水に現地SNSが沸騰 フィリピン人と在住日本人の反応まとめ

2026年8月中旬、南西モンスーン(ハバガット)による豪雨でメトロマニラ一帯が冠水しました。ただ、現地のSNSを追っていて意外だったのが投稿の温度です。「悲しい」ではなく、はっきり「怒り」と「皮肉」に振れている。しかも矛先は雨ではありません。向かっているのは、治水事業の予算です。フィリピン人と在住日本人、両方の反応を集めました。

一番拡散している投稿は「まだ怒らないの?」

今回の洪水で、いま一番広がっているのがこの投稿。8月17日に上げられて、すでに2万人以上がいいねを押しています。

タガログ語で書かれた中身は、ざっくり訳すと「フィリピンの洪水がひどすぎる。フィリピン人が背負わされている苦しみがひどすぎる。まだ怒らないの?なんで?」。悲しみを共有する投稿ではなく、周囲に怒れと促す投稿がトップに来ている。ここが今回の空気を一番よく表しています。

矛先は「ゴーストプロジェクト」

次に伸びていたのは、たった2行の画像投稿でした。

書かれているのは「トウモロコシを売った ❌/治水事業のゴーストプロジェクト ✅」だけ。何を指しているかまでは投稿に書かれていません。ただ、ゴーストプロジェクト——予算だけがつき、実際には行われていない工事——という言葉は、この数日のフィリピンのSNSで何度も目に入ります。

この皮肉が刺さる背景には、実際に「工事が止まったままの治水事業」が報じられている事実があります。ブラカン州ハゴノイのバランガイ・パラパットでは、2週間たっても洪水が引いていません。バランガイ幹部と住民が水位低下の遅れの要因として挙げたのが、放置されているとされる治水事業でした(ABS-CBN Newsに寄稿するジャーナリストの投稿、8月18日)。

ちなみにフィリピン上院は、総額1,070億ペソ規模の治水事業について、各プロジェクトの正確なGPS座標と工区番号の明示を義務付ける方針を示しました。狙いは「その工事、本当に存在するのか」を後から確認できるようにすること。SNSの皮肉と国会の議論が、いま同じ方向を向いています。

「店の手作りバリアの方が効いてる」

皮肉として一番きれいに決まったのは、この動画でしょう。

パンパンガ州マカベベの飲食店が、即席のバリアで店内への浸水を防ぐ26秒の映像。地元紙Daily Tribuneが「規律あるフィリピン人 対 洪水」という見出しで投稿し、店側の「洪水対策、成功です」というコメントを添えました。政府の治水事業と店の手作りバリアが並べられてしまった格好で、返信欄もその文脈で伸びています。

「4月に警告は出ていた」

気象を追っているアカウントの指摘も広がりました。2026年4月の時点で、今年のハバガットが平年より湿った状態になる可能性が警告されていた、という内容。4か月前から分かっていたじゃないか、という文脈で拡散しています。

それでも踊る、という反応

一方で、いかにもフィリピンらしい反応も伸びました。人気グループBINIの曲に合わせて、膝まで浸かった水の中で踊る動画。怒りと笑いが同じタイムラインに並ぶのが、今回の面白いところです。

映像として圧倒的なのはこちら。マンダルーヨンから北を向いて撮影した、ハバガットの4時間タイムラプス。雨雲がどう流れ込んでいるか、一目で分かります。

在住日本人の反応

日本語の投稿も追いました。同じ時期に千葉でも豪雨被害が出ていたため、比較する声が目立ちます。

「マニラを見ていると千葉の冠水はまだ可愛いと思える」「高速道路の下も先週まで道でした。今は川」「水の都ベネチアならぬマニラ。ジプニーの代わりにボートが必要」。写真は本人撮影ではなく拾い物と明記されている点に注意は要るものの、在住者の実感はよく伝わってきます。

セブ在住の方からは、休校の長さを心配する声。「マニラは休校続きで大変そう」「セブは昨年、地震の影響で約1か月登校できなかった」。子どもがいる家庭にとっては、洪水そのものより休校の連続がきつい。この話は毎年のように出てきます。

地方在住の方の投稿からは、首都圏との落差が見えました。自分のエリアは「道路がちょっと川になった程度」、それに対して首都圏は深刻——という温度差つきで、動画が4本添えられています。

現場はどうなっていたか

テレビ局NET25が8月17日に投稿した動画には、マニラ市のエスパーニャ通りの一部が水位のために車両通行不能になり、屋根の下で足止めされた通勤者が映っています。投稿の見出しは「じゃあ、どうやって帰るの?」。大学が集まる幹線道路です。

バターン州でも複数の町で水が引いていないと、News5が8月18日に伝えました。

実用情報:モールが一時避難所を開放、ペット同伴OK

反応まとめの中で、在住者にとって一番役に立つのはこの投稿かもしれません。首都圏の一部のモールなどが一時避難所を開放しており、ペット同伴が可能な施設も含まれています。最新の開放状況は各施設の公式SNSでご確認ください。

あわせて、冠水した道路を歩いて移動するのはできるだけ避けてください。フィリピンでは洪水のあとにレプトスピラ症の感染が増えることが知られており、傷口からの感染が指摘されています。やむを得ず水に入ったら、早めに洗い流すこと。発熱などの症状が出た場合は医療機関へ。

数字で見る被害(2026年8月18日時点)

市民防衛局(OCD)の集計によると、ハバガットと台風「ルイス」「メイメイ」の一連の影響は次の通りです。

浸水した地域430か所
影響を受けた人10地域で510万人以上
死者26人(最多はベンゲット州)
インフラ被害31億ペソ
農業被害14億ペソ

浸水地域の大半は中部ルソン(セントラル・ルソン)に集中しました。2週間水が引かないブラカン州も、この地域に含まれます。

SNSを追うときに気をつけていること

この記事の埋め込みは、すべて投稿者本人のアカウントから行っています。ただし投稿の中には、TikTokなど他所の動画を引用しているものもありました。拡散量が大きい投稿ほど、その傾向が強くなります。動画を撮った人と、投稿したアカウントは必ずしも同じではない。そういう前提で見てください。

災害のたびに起きるのが、過去の水害の映像が「今日の映像」として回る現象です。投稿日時・撮影場所・アカウントの3点が確認できないものは、どれだけ拡散していても採用していません。みなさんがSNSで映像を見かけたときも、この3点を見てもらえると誤情報に引っかかりにくくなります。

よくある質問

ハバガットとは何ですか?

南西モンスーンのことです。6月から9月ごろにかけて暖かく湿った空気を西ルソンに送り込み、断続的な豪雨をもたらします。台風が接近していなくても大雨になるのが特徴。

なぜ雨がやんでも水が引かないのですか?

満潮時に海水が逆流しやすい低地であることに加えて、排水路や治水設備が機能していない場合、水の逃げ場がなくなります。ブラカン州ハゴノイのケースでは、住民が「止まったままとされる治水事業」を要因に挙げました。

「ゴーストプロジェクト」とは何ですか?

予算だけが計上され、実際には行われていない、あるいは完成していない公共工事を指す言葉。今回の洪水を受けて、治水事業に対して繰り返し使われています。

関連記事・出典

関連記事:フィリピン・マニラ首都圏、5時間でオンドイの44%相当の豪雨

出典:本文中に埋め込んだ各X投稿/Inquirer.netThe Philippine StarBusinessWorldManila Bulletin

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