ニュース
フィリピン・マルコス大統領と日本の石破首相、米国の関税と中国の海洋侵略に対処

- マルコス大統領と日本の石破茂首相、米国の関税と中国の海洋侵略に対応
訪問中の日本の石破茂首相は29日、アメリカが課す相互関税の深刻な影響に対して「より良い解決策がある」と述べ、他国の意見にもっと耳を傾ける姿勢を示しました。
昨夜のマルコス大統領との会談で、石破首相は日本とフィリピンが安全保障協定の協議を開始することで合意し、重要な物資やサービスの提供、情報交換が可能となる体制の構築を目指すと述べました。これは、中国による地域での攻撃的な行動に対し、ルールに基づく国際秩序の重要性を再確認したものです。
石破首相は「米国による関税措置や、それに対する中国との報復措置が多国間自由貿易体制と世界経済に与える影響について議論した」と述べました。
さらに、「多くの日本企業がフィリピン経済に貢献している。大統領に対しても、より良い解決策を模索するために現地の声に耳を傾けることを伝えた」と述べました。
また、日本の強みを活かしてフィリピンが「中上位所得国」の地位を達成できるよう支援すると表明しました。
石破首相は、通信、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)、エネルギー、鉱物資源、インフラ、災害リスク削減などを含む協力パッケージを提案し、「これらの分野でさらに連携を強化することで一致した」と述べました。
さらに、2025年4月13日から10月13日まで開催される大阪・関西万博へのマルコス大統領の来訪も招待しました。
- 安全保障協定に関する協議開始
両首脳は、物品役務相互提供協定(ACSA) および 情報保護協定 の締結に向けた交渉開始でも合意しました。これは石破首相の二日間の公式訪問の中でも重要な成果とされています。
マルコス大統領は、「日本は我々がすべての国々との平和と友情を誠実に追求するうえで大きな支援をしてくれている。ACSA交渉の開始で一致した」と述べました。
石破首相は「日本とフィリピンが同盟に近づくパートナーとなったことに感動している。安全保障協力は多層的に深まっている」と強調し、今後の両国間の政府間協議により、情報保護協定の締結を目指すことも明らかにしました。
ACSAは、両軍間で物資やサービスの相互提供を行うための枠組みを提供するものです。
昨年、マニラと東京は相互訪問協定(RAA)を締結しており、それに続く形で今回の交渉が開始されることになります。RAAは共同演習や災害救援活動などの協力活動の実施を容易にし、部隊間の相互運用性向上を目的としています。
- 中国の名指しは避けつつも海洋秩序の強調
両首脳は中国の名は挙げなかったものの、東・南シナ海での現状変更を試みる力や強制に対し、法の支配に基づく秩序の重要性を強調しました。
マルコス大統領は「日本は我々と同じく民主主義と国際法秩序を重視する国であり、戦略的パートナーシップをさらに強化したい」と述べました。
石破首相も「法の支配に基づいた自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、東・南シナ海での現状変更に対して連携して対応していきたい」と述べました。
中国は南シナ海のほぼ全域に主権を主張していますが、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、台湾も部分的に重複した領有権を主張しています。2016年、ハーグの仲裁裁判所は中国の広範な主張を退ける判断を下しましたが、中国はこの裁定を認めていません。
また日本も、東シナ海の尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐって中国と対立しています。
- 日本から新型巡視船の提供へ
一方、フィリピン沿岸警備隊(PCG)は、日本から購入する新型97メートル巡視船5隻のうち1隻目が2027年末に到着予定と発表しました。
PCGのギル・ガヴァン司令官は、日本の海上保安庁(JCG)の瀬口義夫長官の訪問時に契約の進捗を報告しました。
この新型船は既存のBRPテレサ・マグバヌアと同じクラスであり、「この5隻の巡視船の購入は、マルコス大統領の主要プロジェクトの一つだ」と述べました。
ガヴァン氏は、1998年にPCGが海軍から独立した際、日本が人材育成の面で最初に支援してくれたことを振り返り、現在もJCGがPCG職員に対して研修を提供し続けていると強調しました。
「提供元」http://philstar.com