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2025/05/26

フィリピン・マルコス大統領、ASEANサミットで米国の関税問題と南シナ海問題に言及へ

マニラ発 — フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領は、第46回ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に出席するため、5月21日にマレーシア・クアラルンプールへ出発した。会議では、南シナ海をめぐる紛争の平和的解決と、米国による新たな関税政策に対する共通方針の確立を図る構えだ。

■ 米関税への対応とASEANの団結
2日間にわたって開催される会議では、ドナルド・トランプ米大統領(再選を視野に復帰)による新たな関税政策へのASEANとしての対応が主要議題の一つとなっている。

マルコス大統領は出発前の演説で「ASEANは加盟国それぞれの事情を踏まえたうえで、貿易問題に対して共通の対応をとる必要がある」と述べ、マレーシアのアンワル首相と既に非公式な協議を行っていることを明かした。

「ASEANとして、米国の新しい関税スケジュールにどう対応すべきか、引き続き議論を行う」とも語った。

なお、米国によるフィリピン製品への関税は現在17%と、ASEAN諸国の中ではシンガポールに次いで2番目に低い水準。しかし、4月9日には90日間の関税猶予期間が発表され、多くの国に対して関税が10%まで引き下げられた。この措置は今後の交渉期間の確保を目的としている。

■ 南シナ海問題へのフィリピンの姿勢
会議では、中国との緊張が続く南シナ海(フィリピン名:西フィリピン海)の問題も重要な議題となる。

最近では、中国海警局および海上民兵の船舶が、パグアサ諸島(フィリピンの領海内)でフィリピンの水産資源局の調査船を追尾し、側面衝突する事件が発生。これを受け、国家海事評議会は中国側の挑発行為を強く非難した。

マルコス大統領は「開かれた、包摂的でルールに基づいた国際秩序の推進、および国際法に則った平和的な紛争解決のため、フィリピンは一貫した立場を取っていく」と力強く表明した。

■ 際立つ外交姿勢と同行メンバー
今回のマレーシア訪問は、マルコス大統領にとって就任以来33回目の外国訪問となる。同行したのは、リサ・マルコス大統領夫人、クリスティーナ・ロケ貿易産業相、ジェイ・ルイス広報担当相、レオ・テレソ・マグノ・ミンダナオ開発庁長官ら。

また、次期外務大臣のマリア・テレサ・ラサロ氏は既にクアラルンプール入りしており、土曜日に開催されたASEAN外相会議に出席した。

■ ミャンマー情勢とAI倫理も議題に
会議では他にも、ミャンマーの停戦問題や地域の平和・海洋安全保障、気候変動、経済の不安定化、AI(人工知能)によるデジタル変革への対応も話し合われる予定。

マルコス大統領は「ASEANの価値観に基づいた、倫理的かつ責任あるAI利用に関する共通の地域枠組みの整備にも尽力したい」と述べた。

■ 各種会合への参加予定
マルコス大統領は22日に、以下の会合に参加予定:

ASEAN本会議およびリトリート(非公式首脳会合)
ASEAN議会間会議(AIPA)代表者、ASEANユース代表者、ASEANビジネス諮問委員会との対話
クアラルンプール宣言「ASEAN 2045:共有する未来」署名式
アンワル首相夫妻主催の晩餐会
また翌23日には以下の会合にも出席:

第16回東ASEAN成長地域(BIMP-EAGA)首脳会議
第2回ASEAN–湾岸協力会議(GCC)首脳会議
ASEAN–GCC–中国首脳会議
■ 留守中の政権運営体制
マルコス大統領の外遊中は、ルーカス・ベルサミン官房長官、ヘスス・クリスピン・レムリヤ司法相、コンラド・エストレージャ農地改革相が政権の“留守番役”を務める。

この3名は、昨年のラオス、UAE(アラブ首長国連邦)、バチカン訪問時にも同様の役割を果たしている。

なお、副大統領のサラ・ドゥテルテ氏は、以前は大統領外遊時の政府代行を務めていたが、昨年マルコス大統領と関係悪化し、現在はその役割を退いている。最後に政権代行を務めたのは2024年5月のシンガポール訪問時であった。

「提供元」http://philstar.com

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