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フィリピン EDSAの改修工事が6月に開始へ──その内容とは?

フィリピン政府は、首都圏の主要幹線道路「EDSA(エドサ)」の大規模な改修工事を2025年6月から開始すると発表しました。この発表を受けて、工事の具体的な内容や影響について関心が高まっています。
■ EDSAとは?老朽化した幹線道路の再生
公共事業道路省(DPWH)のマヌエル・ボノアン長官によると、EDSAは1939年に「ハイウェイ54」として開通した歴史ある道路です。当初は片側1車線ずつの計2車線でしたが、その後拡張され、現在の形になったのは1980年代の大規模改修時のこと。
「EDSAはすでに設計された耐用年数を超えています」とボノアン氏は述べ、今回の改修の必要性を強調しました。
■ 改修工事の内容:舗装の全面入れ替え
2025年の改修では、まず既存のアスファルトを掘り起こし、コンクリートを再敷設。その上に新しい厚みのあるアスファルト舗装を施す予定です。
改修の対象は、南北方向合計で約200kmの車線。工事は複数の業者によって同時進行で行われる予定で、一車線ずつ順番に閉鎖しながら施工されます。
■ バス専用レーンはどうなる?
通勤の大動脈とも言えるEDSAのバス専用レーンは、工事中も運行を継続する方針です。現在このレーンは、1日あたり約20万人の利用者を支えています。ただし、改修の優先エリアはバスレーンのある一番内側の車線。そのため、バスレーンは一時的に隣接する車線へ移動されますが、バス停での乗降のために一部内側へ“寄る”構造になるとのことです。運輸省のビンス・ディゾン長官は、「運行は中断させない」「バスレーンの“専用性”は維持する」と強調しています。
■ ASEANサミット開催とスケジュールへの影響
2026年には、フィリピンがASEAN首脳会議を主催する予定があり、これは改修計画にも大きな影響を与えると見られています。正式な会場は未定ですが、マニラ南部での開催が想定されているため、工事は一時中断される可能性があります。優先されるのは、パサイからグアダルーペにかけての南行き車線。ただし、北行き・南行きともに工事は2026年を超えて継続される見込みです。なお、EDSA北部(例:カロオカン市付近)の工事は、ASEAN開催地から遠いため、スケジュールに大きな影響はないと見られています。
■ その他の改良ポイント:歩道・排水も整備
EDSA改修工事では、単なる道路の舗装だけでなく、歩行者用通路や排水設備の改善も含まれています。これにより、洪水の軽減や歩行者の安全確保にもつながると期待されています。
■ 完成予定は2027年
政府は、今回のEDSA改修工事を2027年までに完了させることを目指しています。
「長期戦」ではあるものの、マニラ首都圏にとってこの大動脈の再整備は避けて通れない課題。 通勤・物流・観光など、あらゆる面でのインフラ改善が期待されています。
「提供元」http://philstar.com