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フィリピンのハロウィンとUndas(ウンダス)とは?由来・過ごし方・伝統行事を徹底解説!
2025年10月24日
毎年10月31日に世界中で楽しまれるハロウィン。もともとは古代ケルトの「サウィン祭(Samhain)」が起源とされ、秋の収穫を祝い、悪霊を追い払うお祭りでした。アメリカでは仮装して「Trick or Treat!(お菓子をくれなきゃいたずらするぞ)」と子どもたちが家々を回るイベントとして有名ですね。 フィリピンのハロウィンは人気イベント! もともとはアメリカ文化の影響を受けて広まったものですが、 今ではフィリピンらしくアレンジされた“明るくて家族的なハロウィン”になっています。 子どもたちの楽しみ!仮装パーティー&トリック・オア・トリート 都市部のショッピングモールやビレッジ(住宅街)では、子どもたちが仮装して“Trick or Treat(お菓子をくれなきゃいたずらするぞ)”をします。 モール主催のハロウィンイベントが大人気! 大型ショッピングモール(SM、Ayala、Robinsonsなど)では、子ども向け仮装大会が開かれ、ディズニーやスーパーヒーローのコスチュームがずらり。 住宅地では近所総出でお菓子配り ガード付きビレッジでは、各家庭が玄関を飾りつけてお菓子を配るスタイルが一般的。地域の交流の場にもなっています。 学校やオフィスでも仮装OK! 特に私立学校や国際校では、ハロウィンウィークとしてクラス全体で仮装パレードを行うことも。 大人たちも本気!ハロウィンナイトと仮装コンテスト 若者や大人にとってもハロウィンは一大イベント。 夜になると、クラブやバー、ホテルではハロウィンパーティーが開催されます。 • マカティやBGC(ボニファシオ・グローバルシティ)では、テーマパーティーや仮装コンテストが多数開催。 • ホラー映画マラソンやカラオケ付きのコスチュームパーティーも定番。 • FacebookやInstagramに「#HalloweenPH」「#FilipinoHalloween」などのタグを付けて、写真をアップするのも恒例。 フィリピン人は写真映えをとても大事にするため、仮装のクオリティが高い!と評判です。ゾンビや吸血鬼はもちろん、ユーモラスな「カップル仮装」「家族でテーマコーデ」も人気です。 ハロウィンのあとは「Undas」へ 「Undas(ウンダス)」とは、フィリピンで毎年11月1日(All Saints’ Day:諸聖人の日)と11月2日(All Souls’ Day:死者の日)に行われる、亡くなった家族や先祖を偲ぶ伝統行事のこと。 カトリック信仰が根付くフィリピンでは、この時期を「家族でお墓に集まり、故人に祈りを捧げる日」として非常に大切にしています。 Undasの起源と歴史 Undasの起源は、カトリック教会の「All Saints’ Day」と「All Souls’ Day」にあります。 8世紀ごろ、ヨーロッパのカトリック教会で「すべての聖人をたたえる日」として11月1日が制定。 続いて11月2日が「死者の魂のために祈る日」とされました。 スペイン統治時代(16世紀~)にこの習慣がフィリピンに伝わり、現地文化と融合。 こうして、スペインのカトリック儀礼とフィリピン人の家族中心の価値観が組み合わさり、現在の“にぎやかで温かいお墓参り文化”となったのです。 Undasの時期は国民的大移動 Undasの数日前から、フィリピン中で“帰省ラッシュ”が始まります。 多くの人が故郷へ帰り、家族そろってお墓参りをするため、交通機関や高速道路は大混雑。 政府はこの時期、「Oplan Undas(ウンダス作戦)」という安全対策キャンペーンを毎年実施します。警察やボランティアが交通整理や墓地警備を行うほど、国をあげての一大行事です。 Undasの各家庭の過ごし方と習慣 Undasの日は、早朝から家族全員で墓地に向かいます。 その過ごし方は地域や家庭によって少しずつ異なりますが、共通しているのは「祈り」「供え」「団らん」の3つです。 一般的なUndasの過ごし方 1. お墓の掃除 到着後まず、墓石をきれいに掃除します。 家族みんなでブラシや雑巾を持ち、亡くなった人への敬意を込めて丁寧に磨きます。 2. 花とロウソクを供える 花は主にマリーゴールド(Tagetes)や白い菊。 ロウソクの光は、魂が安らかに眠れるようにとの願いを象徴します。 3. 祈りとロザリオ 家族で手をつなぎ、静かに祈りを捧げます。 ロザリオを唱えたり、神父が来てミサを行うこともあります。 4. お供えと食事の時間 掃除と祈りが終わると、持参した料理を広げてピクニックのように過ごします。パンシット(焼きそば)やアドボ、お菓子などを分け合い、“墓前ランチ”を楽しむのがフィリピン流。 「亡くなった人も一緒に食事をしている」という気持ちで、笑顔が絶えません。 5. 一晩中滞在する家庭も 夜になると墓地にロウソクの光が並び、幻想的な雰囲気に。 テントを張って泊まる家族も多く、一晩中語り合いながら先祖を偲ぶのです。 Undas(ウンダス)の定番フード一覧 家族や先祖を偲ぶUndasでよく食べられる料理とその意味 料理名 内容・特徴 意味・由来 Pancit(パンシット) 野菜や肉を炒めたフィリピン風焼きそば。冷めても美味しく食べられる。 麺の長さが「長寿」を象徴し、家族の健康と繁栄を願う。 Adobo(アドボ) 肉を酢と醤油、ニンニクで煮込んだ定番家庭料理。 保存性が高く、持ち寄りに最適。家族で分け合う温かい象徴。 Suman(スーマン) バナナの葉に包まれた甘いもち米菓子。 供え物やおやつとして人気。故人への“甘い祈り”の象徴。 Bibingka / Puto(ビビンカ / プト) 米粉を使った蒸しパンやケーキ。露店や墓地周辺でよく販売される。 神聖な供え物。家族の団らんを象徴するスイーツ。 Lechon(レチョン) 豚の丸焼き。お祝いの場で振る舞われる豪華料理。 特別な日を祝う象徴的料理。家族の絆と繁栄を表す。 フィリピンらしい「明るい死者の日」 他国では“死者の日”は静かで厳粛な印象がありますが、フィリピンでは笑顔・音楽・団らんが溢れています。 墓地にはポータブルスピーカーで音楽が流れ、子どもたちはかくれんぼやバドミントンをしたり、露店ではお菓子や軽食が売られています。 つまり、「悲しむための日」ではなく「命と家族を祝う日」なのです。これがフィリピンのUndas文化の最大の魅力です。 現代の変化と新しい形 近年では、都市化やライフスタイルの変化により、「墓地に行けない家族のためにオンラインで祈る」ケースも増えています。 教会や自治体が提供するオンラインミサやバーチャル供養サービスを通じて、遠く離れていても家族で祈りを共有できるようになりました。 また、SNS上では「#Undas2025」「#AllSoulsDayPH」などのタグで、思い出の写真や祈りの言葉を投稿するのも定番です。 Undas Padasal(ウンダス・パダサル)とは? Padasal(パダサル)とは、亡くなった人のために行われる祈りの集会(Prayer Gathering)のことです。 フィリピンの「All Saints’ Day(諸聖人の日)」や「All Souls’ Day(死者の日)」、つまりUndasの期間に合わせて、家族や親族が集まり、故人の魂の安らぎを祈る目的で行われます。 Padasalの意味と起源 「Padasal」は、タガログ語で「祈る(dasal)」に由来します。 フィリピンではカトリックの影響が強く、スペイン植民地時代から死者のための祈り(novena for the dead)の習慣が広まりました。 Undasの時期になると、家族は故人の家や墓地に集まり、ロザリオ(Rosary)を唱えたり、神父や教会の信徒リーダーが祈りを導きます。 Padasalの典型的な流れ Undas(ウンダス)の時期に行われるPadasal(祈りの集会)の一般的な流れを、ステップごとにまとめました。 ステップ 内容 場所・タイミング 所要時間・備考 ① 準備 祭壇を設け、写真・花・ろうそく・供え物などを準備。 自宅や墓地。朝に行う家庭が多い。 約30〜60分。風対策・掃除道具を忘れずに。 ② ロザリオ(Rosary) 「Hail Mary」などを唱え、故人の魂の安らぎを祈る。 祭壇前または墓地にて。 約20〜45分。静寂を保ちながら行う。 ③ 読経・朗読 家族代表や司祭が聖書や追悼文を朗読。故人の思い出話を共有することも。 自宅・教会・墓地。 約10〜20分。マイクがあると便利。 ④ 沈黙の祈り 各自が心の中で祈りを捧げ、ロウソクを灯す。 祭壇や墓石の前。 数分〜15分。夜間は灯りが印象的。 ⑤ 食事の共有(Salu-salo) 祈りの後、供えた料理を家族で分け合いながら思い出話をする。 墓地・自宅・庭先など。 約30分〜数時間。持ち寄り形式が一般的。 ⑥ 後片付け・祈願の継続 供え物の整理や掃除を行い、最後に短い祈りで締めくくる。 同上。 約15〜30分。残り物は近隣と分け合う。 ※地域や宗派、家庭の伝統によって順序や内容は異なります。 まとめ フィリピンの「Undas」は、単なるお墓参りではなく、家族の絆を深め、故人への愛と感謝を再確認する大切な時間です。 Padasalの祈りや、家族で囲む食事、そして墓前での静かな語らいは、亡き人を偲びながら「今を生きる自分たちのつながり」を感じるひとときでもあります。 ハロウィンの華やかなイベントのあとに訪れるUndasは、フィリピンならではの“明るく温かい追悼文化”を象徴しています。 この季節にフィリピンを訪れる人は、ぜひ一度、現地の家庭がどのように祈り、語り、笑いながら故人を偲ぶのか体験してみてください。 そこには、きっとフィリピンの人々の「家族を大切にする心」が息づいているはずです。