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2026/09/15

電気代の「システムロス税」12%VATをBIRが撤廃 メラルコ利用者は請求書5〜10%減の見通し 反映は11月中旬まで

フィリピンの送電インフラと電線のイメージ

フィリピン内国歳入庁(BIR)が2026年9月14日に、電気料金に含まれる「システムロス料金(system loss charge)」への12%付加価値税(VAT)を撤廃したことを確認しました。エネルギー省(DOE)は、この措置で電気代が配電会社によって約5〜10%下がる可能性があると試算しています。物価高が続くなか、毎月の固定費に直結する話ですので、在住者・移住検討者向けに内容と実際の反映時期を整理します。

何が決まったのか(事実の整理)

BIRは9月14日付で公表した歳入覚書回状(RMC)第097-2026号により、エネルギー規制委員会(ERC)が承認した上限内のシステムロス料金についてVATを課さないと確認しました。システムロスとは、発電された電気が送配電の途中で失われる分のことです。2001年の電力産業改革法(EPIRA、共和国法第9136号)のもとで、その一部を消費者が負担してきました。今回はそのうちVAT部分だけが外れる形になります。

料金そのものの完全撤廃には議会によるEPIRA改正が必要で、ERCとBIRの権限で今できるのはVATを外すところまで、というのが現状です。ここは誤解しやすい点でしょう。

現地の反応

報道は「速報」扱い

大手放送局GMA Newsは9月14日午後、RMC第097-2026号の発行を「BREAKING(速報)」として伝えました。ERCが承認した上限内の許容システムロス料金に対するVATが外れる、という内容です。生活コスト系のニュースがトップ級で扱われるあたりに、関心の高さがうかがえます。

歓迎しつつ「法で恒久化を」

元上院議員のレイラ・デ・リマ氏は9月14日、「DAPAT LANG!(当然だ)」とVAT撤廃を歓迎しました。一方で、回状は簡単に覆されうるため、恒久的で明確なものにするには法律が必要だと指摘しています。負担軽減が別の料金や通過コストに転嫁されないようERCが確保すべき、という条件付きの評価でした。

「料金そのものを無くせ」

弁護士で公職経験もあるチェル・ディオクノ氏は同じ9月14日、「Sa wakas(ついに)」とVAT撤廃を評価しつつ、システムロス料金自体の完全撤廃を求めました。同氏は「Zero System Loss Act(下院法案第10585号)」の可決を改めて呼びかけています。歓迎ムードのなかでも、VATが外れるだけでは不十分だという声が政治サイドから出ている点は押さえておきたいところ。

在住日本人の視点:そもそも電気代の負担が重い

今回のVAT撤廃そのものへの在住日本人の反応はX上ではまだ限られていました。ただ、背景として「フィリピンの電気代は負担が重い」という指摘は以前からあります。フィリピン在住の情報発信アカウント「駐在ジャーニー」は8月16日、東南アジアの多くが電気に補助金を出す一方、フィリピンは発電・送電・配電が完全に民営化され、燃料高や予備電源のコストが利用者に直接転嫁されると説明していました。同アカウントは、200kWh使用時に電気代が平均月収に占める割合を、フィリピン約11〜14%、日本約1.7〜1.9%と比較しています(数値は同氏の投稿による試算で、2026年8月時点)。この「所得対比の重さ」を踏まえると、5〜10%の値下げでも家計への意味は小さくないでしょう。

実用情報:いつ・いくら安くなる?

配電会社(DU)は制度の施行から60日以内に請求書の様式を変更するため、システムロス料金が別項目として請求書に反映されるのは早くて11月中旬とされています。つまり、9月・10月の請求書ではまだ変化が見えない可能性が高い、という点に注意してください。値下げ幅は配電会社によって異なります。

最大手メラルコ(Meralco)の場合、システムロス料金は月々の請求のおよそ5%程度を占めるとされます。メラルコの2026年第1四半期のシステムロス率は5.72%で、ERCの上限6.5%を下回っていました。一方、地方の電力協同組合には16%に達するところもあり、値下げの実感は地域差が出そうです。

数字で見る(一覧)

項目内容
根拠BIR歳入覚書回状(RMC)第097-2026号(9月14日確認)
撤廃されるもの許容システムロス料金への12%VAT
想定値下げ幅電気代の約5〜10%(配電会社により差)
請求書への反映早くて11月中旬(DUに60日の様式変更猶予)
メラルコ利用者数約830万件
メラルコのシステムロス率5.72%(2026年第1四半期/上限6.5%)
年間のシステムロス費用約500億ペソ(ERC試算)
消費者の節約見込み年間最大約60億ペソ
政府の減収見込み年間約100億ペソ(財務省試算)

SNSを追うときの注意

今回のように「電気代が下がる」という話題は、海外の似たニュース画像が混ざって拡散しがちです。実際、VAT撤廃を支持する投稿のなかには南アフリカの電気VATに関する記事画像を添えたものもありました。国名・制度名・日付を確認してから受け取るのが安全でしょう。数値は誰の試算かも合わせて見ておくと、誤解を避けられます。

よくある質問

Q. 電気代はすぐ安くなりますか?
A. すぐではありません。配電会社に請求様式の変更へ60日の猶予があるため、反映は早くて11月中旬の見込みです。

Q. どれくらい下がりますか?
A. DOEの試算で約5〜10%です。ただし配電会社ごとのシステムロス率で差が出ます。メラルコでは料金全体の約5%がこの項目に相当します。

Q. システムロス料金そのものは無くなりますか?
A. 今回外れるのはVAT部分だけです。料金自体の撤廃にはEPIRA改正という議会手続きが必要で、その是非は引き続き議論中です。

現地の投稿(参考)

出典

  • Philippine Daily Inquirer「Sona promise: Lower power bills as VAT on system loss out」(2026年9月15日)
  • GMA News(@gmanews)Xポスト(2026年9月14日)
  • Leila de Lima(@manayleila)Xポスト(2026年9月14日)
  • Chel Diokno(@ChelDiokno)Xポスト(2026年9月14日)
  • 駐在ジャーニー(@expatsjourney)Xポスト(2026年8月16日、電気代の所得対比に関する試算)
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