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フィリピン シャルガオ島でスペイン人実業家を殺害したとして告発された警官たちに保釈は認められず
マニラ(フィリピン)発 — 地元裁判所は、2020年にスペイン人実業家ディエゴ・ベリョ・ラフエンテ氏を殺害したとして告発された3人の警察官に対し、保釈を認めない判断を下しました。
2024年5月27日付の命令において、マニラ地方裁判所第1支部は、警察大尉ワイズ・ビセンテ・パヌエロス、警察軍曹ロネル・パゾ、警察軍曹ニド・ボーイ・コルテスの3名による保釈申請を却下しました。裁判所は「被告に対する有罪の証拠は強力である」と述べました。
「検察は全被告に対する有罪の証拠が強いことを立証した。現時点では、ラフエンテ氏が買収捜査中に被告らに発砲し、それに応戦したという被告側の主張は、あくまで彼らの一方的な説明にすぎない。」
これまでの経緯
2022年3月17日、パゾ、コルテス、パヌエロスの3名に対して、「刑法による殺人罪」と「共和国法第10591号(銃器・弾薬の不法所持等)に基づく証拠の捏造罪」がスリガオ・デル・ノルテ地方裁判所第31支部にて起訴されました。
2023年2月6日には、犯罪捜査グループ(CIDG)より逮捕状の執行報告が提出され、3人は自発的に出頭したことが明らかにされました。
その後、2023年3月1日に行われた罪状認否において、3人は無罪を主張。10月には「有罪の証拠は弱い」としてそれぞれ保釈請求を行いました。
事件の背景
亡くなったラフエンテ氏は、ドゥテルテ前大統領による麻薬撲滅戦争の犠牲者のひとりであり、違法薬物取引への関与があったと警察は主張していましたが、その説は家族や友人らによって否定されました。
2020年、ラフエンテ氏はシャルガオ島での麻薬捜査中に警察との銃撃戦の末、死亡したとされています。
裁判所の判断
被告の主張とは異なり、裁判所は「証拠は強力である」と断定しました。
裁判所によると、被告らはそれぞれの供述書において犯行現場にいたこと、また買収捜査に関与していたことを認めており、それぞれの役割も明示されていました。
さらに、「銃撃戦があった」とする警察側の主張は、国家捜査局(NBI)によって否定されました。
「証言および法医学的証拠により、ラフエンテ氏の死は武力衝突によるものではないことが明らかになった。被害者の手および使用されたとされる.45口径の銃から硝煙反応が出たにも関わらず、それが実際の発砲を意味するものではない。」
NBIの調査結果は、国家警察SOCO(犯罪現場捜査班)やフィリピン麻薬取締局(PDEA)との共同調査に基づいたもので、裁判所もこの結果に信頼を寄せています。
NBIは事件の再現も行い、被告らの供述を検証しましたが、他の証人(アンティパサド氏およびパロマー氏)の供述や発砲痕などの物的証拠と照らし合わせた結果、「銃撃戦」は存在しなかったと結論づけられました。
「特に、.45口径拳銃の3つの部品と、パヌエロス警察大尉およびコルテス警察軍曹の銃から発射された6つの9mm薬莢の三角形の配置は、銃撃戦があったとは考えにくい状況を示していた。」
さらに裁判所は、パゾ警察軍曹に関しても発砲された薬莢が発見されていないにも関わらず、「共謀の証拠が強い」と判断しました。
「パゾ被告も現場にいたと自ら認めており、パラフィン検査でも陽性反応が出ている。よって彼の関与についても有罪の証拠は強い」と裁判所は述べました。
「提供元」 http://philstar.com
